従来の賃貸借契約は、法律上、「正当事由」がある場合でなければ、賃貸人(貸主)から契約の解約申し入れができないこととされてきました。そこで、貸主が借主に対して解約を求めたくても「正当事由」が乏しい場合、それを補完するものとして、それ相応の立退料を支払わなければ解約できないことになります。従来の賃貸借契約は、借主が不意に追い出されないよう、借主側が厚く保護されているんですね。

 これに対し、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借が終了する賃貸借のことを定期賃貸借といいます。
 定期賃貸借は、内容的な要件としては期間を確定的に定めることが必要です。
 また、形式上の要件として、「公正証書による等書面によって契約する」ときに限って、定めることができるものとされています。
この場合、貸主は借主に対して、契約の更新はなく、期間の満了とともに契約が終了することを、契約書とは別にあらかじめ書面を交付して説明しなければなりません。
貸主がこの説明を怠ったときは、その契約は定期賃貸借としての効力は否定され、従来型の、契約の更新のある賃貸借契約となります。

 この定期賃貸借、貸主にとっては大きなメリットがあり、かつデメリットは考え難い、貸主にとっては使い勝手のよい制度といえます。
 定期借家契約を結ぶと、「貸したら返ってこない」といったことがなくなり、建て替えや大規模修繕を行いやすく、計画的な賃貸経営が可能となるからです。
  具体的なメリットとしては、
 ①賃貸経営上の最大のネックであった「正当事由」を気にせずに、立退料等を支払うことなく契約終了、立ち退き問題が解決で  
  きる。
 ②契約の更新はなく、継続の場合は再契約で対処できる。建て替え等の計画があれば1年、あるいは2年ごとの再契約を繰り 
  返せば、立ち退き料の負担もなく計画が進められる 。
 ③長期(10年以上)の契約の際、賃料改定を契約の中に特約で盛り込めば、安心して改定できる
 ④ 契約期間終了前でも、借主が契約内容に違反していれば契約解除できる

 それでは、借主にメリット、デメリットはあるのでしょうか?
 この点、賃貸物件の活発な流通を期待して創設された制度だけに、借主のメリットはあまり多くなく、逆にデメリットがはっきりしているようです。
 これから契約を締結する入居希望者にとっては、契約期間が満了すると必ず契約が終了するというのは、かなり不安なものです。
 たとえば3年契約の場合、3年後に自分がどういう状況にあるか確実に予測できる入居希望者はほとんどいません。そうすると、3年後に、やっぱりこの部屋に住み続けたいという状況となることもあり得るので、3年で必ず契約が終了し、出ていかなければならないという契約には躊躇するはずですよね。

 では、この定期賃貸借契約の契約書に、貸主からの中途解約ができるという条項が記載されているときに、貸主はこの条項に基づいて中途解約できるのでしょうか?
 なぜこのようなことを書くかというと、私が業務で定期賃貸借契約の契約書をチェックしている場合、よくこのような「貸主からの中途解約可」という条項が含まれた契約書を目にするからです。

 この点については、次回のブログで説明したいと思います。

以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!
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