小学生が蹴ったボールが校庭から飛び出したため、通りかかったバイクがハンドル操作を誤って転倒。乗っていた人が負傷し、後に死亡した。このとき、「子どもの責任は親がとれ」と訴えられたら、、、こんな裁判の弁論が3月19日、最高裁第1小法廷で開かれ、判決期日が4月9日と指定された、という報道が先日ありました。

 どのような事案かというと、11歳の小学生が蹴ったサッカーボールが校庭の門を超えて道路に飛び出してしまったところ、たまたまオートバイで通りかかった85歳の男性がボールを避けようとしてハンドル操作を誤って転倒し、その後、寝たきりの状態となって死亡したという事件です。

 1審大阪地裁、2審大阪高裁とも子どもの過失行為(誤って校庭外へ飛び出すボールを蹴った行為)と被害者死亡との因果関係があるとした上で、両親の監督責任を認め、損害賠償請求の一部を認める判決を下しています。
 だだ、最高裁では慣例として、2審の結論を変更する際には弁論が開かれることから、両親の監督責任を認めて賠償を命じた2審判決が見直される可能性が高くなったため、今回のような報道がなされたのです。

  1審2審では、85歳という高齢の男性が、オートバイで走行中に転倒すれば骨折してしまうこと、骨折してしまったら高齢のため治りが悪く寝たきりになることが容易に想定され、寝たきりになれば嚥下障害が発生してしまうことは普通の人の感覚から通常生じるといえ、ボールを飛び出させたことと死亡との因果関係を認めました。

  また、民法上、損害賠償責任を負わせるためには、行為者に責任能力がなければならないとされており、おおよそ12歳くらいであれば責任能力があるとされています。
  そして、今回のように、11歳の子どもで責任能力がない場合には、子どもの監督者である親が十分な監督をしたことを立証できない限り、親が監督責任を負うことになるのです。
 この「親が十分な監督をした」という立証は非常に難しく、多くの裁判例では子どもが他人に損害を与えた場合、ほとんど親の監督責任が認められています。
今回のケースでも、1審、2審ともに両親は十分な監督をしたとはいえないと認定しており、従来の裁判例の傾向に沿う判断を行いました。
 
  だだ、親の立場からすると、子どもに対して、「校庭でサッカーをしているとき、ボールをゴールに向かって蹴る際には周りの状況をよ~く確認して、外に飛び出す危険を感じたなら、決して飛び出すような強さでボールを蹴ってはいけません!」「校庭で野球をしているとき、打撃をする場合は、自分の飛距離をちゃんと把握し、外に飛び出す危険を感じたら、決して全力でバットを振ってはいけません!」などと子どもに注意している親がどれだけいるか疑問ですよね、、、

 今回、最高裁が結論を見直すとすれば、これまでの親に監督責任を認める裁判例の傾向に対して、流れを変えるものになると思われます。その意味でも、4月9日の判決の結論には注目したいですね。

 なお、お子様がおられる家庭では、子どもが起こした事故で親の監督責任を問われた際に備えて、個人責任賠償保険への加入は必須ですので、加入の有無、支払限度額について今一度確認しておくことが必要です(通常は、個人責任賠償保険は自動車保険や火災保険に特約付帯されていますが、この特約付帯を含めてご確認を!)
以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!
みずほ法律事務所