先日、不動産業を営む友人から「店舗を借りていた人が死亡した場合、賃貸借契約は終了するのか?」という質問があったので、今日のブログのテーマとさせていただきます。

 結論から言うと、賃貸借契約は借主死亡によって終了せず、賃借権は借主の相続人に当然に承継されることになります。借主の相続人が複数の場合、賃借権はその全員が共同相続することになります。
 例えば、奥様に先立たれた1人暮らしの借家住まいの男性が亡くなられた場合、男性のお子さん3名がご存命であれば、このお子さん3名が賃借権を共同相続することになるのです。

 このとき、賃貸人(家主さん)は、お子さんの連絡先がわかれなければ、新たに賃借人となるお子さんたち(相続人)を探さなければなりませんが、個人で賃借人の戸籍調査等を行うことは不可能ですので、戸籍調査は専門家である弁護士等に依頼することになりますね。
 
 戸籍調査の結果、相続人がわかった場合、賃貸借契約を終了させるには、相続人全員に対して解除の意思表示をする必要があるので、戸籍調査によって相続人を全員確認しておく必要があります。

 一方、戸籍調査の結果、戸籍上相続人がいない場合もあります。このような場合は、賃借権や部屋に残された動産類の財産は、「法人」(民法951条)となり、賃貸借契約は相続財産法人との間で継続することになります。

 この場合、相続財産法人との間で賃貸借契約を解除するための交渉相手は、「相続財産管理人」ということになり、賃貸人は、家庭裁判所に対して相続財産管理人選任の申立をし、相続財産管理人を裁判所に選任してもらった上で、相続財産管理人との間で賃貸借契約を合意解除することになります。この相続財産管理人選任の申立においては、将来の相続財産管理人の報酬予定額(最低20万円程度)を家庭裁判所に予納金として納付する必要がありますので、相続財産が少額の場合は賃貸人の持ち出しになってしまいます。

 時々、「借主が死亡し、借主の関係者の連絡先がわからないから、契約を終了させて部屋に残った荷物(動産類)をこちらで廃棄処分してよいか?」と家主さんから相談されることがありますが、法の建前としては前記のとおり、相続人調査を行い、相続人がいない場合は裁判所に対して相続財産管理人選任申立、の手続きを踏むことが必要です。
 そうでないと、家主さんが勝手に賃借人の家財道具を処分した後に相続人があらわれて、損害賠償請求される、などのトラブルに発展することがありますからね。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!
みずほ法律事務所