私や他の弁護士の常識を覆すであろう東京地裁2014/4/14判決が、5月25日発売の判例集(判例タイムズ1411号312頁)に掲載され、弁護士の間で話題となっていますので、紹介しておきます、、、

 事案の概容は、、、
 クラブのママである被告Yと、クラブの顧客だったAとの間に、7年間にわたる継続的な不貞行為があったことより、精神的苦痛を被ったとして、原告X(Aの妻)がYに対し400万円の慰謝料を請求した事案です。
 AとYとは、月に1~2回の頻度で土曜日に昼食をとった後、ホテルに行って夕方に別れるというパターンを繰り返していた。AはYのクラブに月1~2回には定期的に通い、同業者を連れていくこともあったという優良顧客でした。
 判決の結論は、「仮にAとYの間に継続的な不貞行為があったにせよ、、、Xとの関係で不法行為は成立しない」としています。
 判決の概容は、、、
1、AとYとの性交渉は典型的な枕営業に該当する。
2、一般に、夫婦の一方の配偶者Aと肉体関係を持った第三者Yは、故意または過失がある限り、配偶者Aを誘惑するなどして肉  体関係を持つに至らせたかどうか、AY両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者Xの夫または妻としての権利を侵害することになり、その肉体関係は違法行為となり、他方の配偶者Xの被った精神上の苦痛を慰藉すべき義務がある(最高裁判例)。
3、しかし、ソープランドに勤務する女性のような売春婦Zが、対価を得て妻Xのいる顧客Aと性交渉を行った場合、当該性交渉は当該顧客Aの性欲処理に商売として応じたにすぎず、何らAX間の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、たとえそれが長年にわたり頻繁に行われ、そのことを知った妻Xが不快感や嫌悪感を抱いて精神的苦痛を受けたとしても、売春婦Zは妻Yに対する関係で慰謝料支払義務を負わない。
4、ところで、クラブのママやホステスが、自分を目当てとして定期的にクラブに通ってくれる優良顧客や、クラブが義務づけている同伴出勤に付き添ってくれる顧客を確保するために様々な営業活動を行っており、その中には、顧客の要求に応じて性交渉をする、いわゆる枕営ことは公知の事実である。
5、クラブのママYが枕営業として顧客Aと性交渉を反復継続したとしても、売春婦Zの場合と同様に、顧客Aの性欲処理に商売として応じたにすぎず(枕営業の対価は顧客がクラブに通って馴染み客として支払う代金の中に間接的に含まれている)、何らAX間の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、そのことを知った妻Xが精神的苦痛を受けたとしても、妻Xに対する関係で不法行為を構成するものではない。
 
 
みずほ法律事務所