弁護士コラム

相続させたくない人がいる

遺産を相続させたくない人がいる場合の対処法

家庭や人間関係の複雑さから、特定の家族や親戚に遺産を相続させたくない、と思う方は少なくありません。遺産を渡せば無駄遣いされる、あるいはこれまでの関わりが薄かった子供に財産を残したくないそんな理由もあるでしょう。

しかし、日本の法律は一筋縄ではいきません。そこで今回は、相続を回避する方法をいくつかご紹介します。

遺贈や死因贈与で相続させない

すべての相続財産を他人に贈与することで、特定の人に相続させない方法。但し、子供の遺留分、すなわち相続の最低取り分を確保する必要がある。遺留分権利者には、最低限の財産が保障されることを意識しましょう。

遺言で相続させない

遺言書によって、相続させたくない人への相続分を0にすることができる。しかし、遺留分を受け取る権利を持つ相続人(直系の親子や配偶者など)への配慮は必要。遺留分侵害額請求権が付与される相続人には、少なくとも遺留分に相当する金額を遺言で指定するとトラブルを回避できます。

相続人を廃除して相続させない

特定の相続人の相続権を剥奪する「相続権の廃除」制度。例えば、被相続人に対する虐待を理由として申立てが可能です。但し、廃除された相続人の子供が代わりに相続することもあるため注意が必要です。

欠格者には相続させない

被相続人を殺害したり、遺言を改ざんしたりするなど、特定の犯罪行為を行った相続人は「相続欠格者」として、自動的に相続権を失います。この場合、裁判所の審判などは不要です。

いずれの方法も独特の注意点があるので、詳しく知りたい場合は専門家に相談することをおすすめします。相続のトラブルは後々の人間関係にも影響するので、早めの準備と知識が大切です。